最も効率のいいたんぱく質量ってどれくらいなの?
「とにかく今はカッコいい体を作り上げたい」
こんにちは、大阪NextageFitness
パーソナルトレーナーのサトナカです。
前回の記事では厚生省の発行する
「日本人の食事摂取基準」から
推奨される三大栄養素のバランスを満たしつつ
妥当と思われる1日の摂取カロリーについて
例とともに解説してきました。
ですが、これはあくまでも
生活習慣病のリスクを減らしていくための
(言い換えれば健康でいるための)
栄養バランスでしかありません。
特に継続的にトレーニングを行っている方や
ダイエットをしていく方はこの基準とは
少し異なるバランスで食事を
デザインしていかなければなりません。
日々、色んな研究結果や論文を見ていく中で
今回のテーマに最適なメタアナリシスを
見つけましたのでそれをもとに今回は解説を行います。
それではいってみましょー!!
今回参考にするメタアナリシス
メタアナリシスって何?
まずはですね、「メタアナリシス」
あまり馴染みのない言葉かもしれません。
この「メタアナリシス」とは何でしょう?
メタアナリシスとは…
複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析すること、またはそのための手法や統計解析のことである。メタ分析、メタ解析とも言う。ランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスは、根拠に基づく医療 (EBM) において、最も質の高い根拠とされる。
メタアナリシス – Wikipedia
天下のウィキペディアでは、こういった文章で説明されています。
う~む、分かりにくい。
ざっくりいうと
色んな研究結果をまとめて、さらに質の良い答えをだす!
ということです。
今回参考にするもの
国立健康・栄養研究所から2020年の11月に
Nutrition Reviewsへ掲載された
「タンパク質摂取量と筋肉量増加の間の用量反応関係:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタアナリシス」
というものを参考にします。
(↑のリンクから当該論文を読むことができます※全文英語)
(サトナカはほぼ中学生レベルの英語しかできないので
Google翻訳に助けてもらいました。)
この研究の主な目的と背景しては
- 筋量の維持・増進は健康の維持に重要
- でも、どれだけたんぱくを摂るとどれだけ筋量が増えるかがわかっていない
- だから、たんぱく質が筋量に及ぼす影響について、メタアナリシスを用いて答えを出そう
というものです。
一番パフォーマンスのいいたんぱく質量
さて、上記のメタアナリシスから早速結論。
(内容が読めなくて飛ばしてるわけじゃないよ…?)
最も効率のいいたんぱく質量は…
体重(kg)×1.3g !!!
でした。
論文内に掲載されていた
グラフを見ると
このようになっています。
- 縦軸に除脂肪体重(筋量)
- 横軸に体重当たりのたんぱく質摂取量
を取っており、(a)~(i)のグラフは
年齢、性別、筋トレ習慣の有無で分類したものになっています。
改めてグラフを見ると、
どのグラフでも1.3gまではグングングラフが縦軸方向に伸び
1.3gを超えると上昇率が緩やかになっていることが分かります。
この結果から、
筋トレをしているかどうかに関わらず、
どの年代の男女でも1.3gが最も効率よく
筋肉量が増加している。
という事が言えます。
もちろん、1.3g以上たんぱく質を摂っていても
筋量は増えていくので、しっかり筋肉を育てたい方は
体重1kg当たり2~3g摂っても良いと言えます。
この結果を元に1日の食事を考えてみる
前回の記事では
「日本人の食事摂取基準」を参考に計算を行ってきました。
その中では
- たんぱく質:13~20%
- 脂質:20~30%
- 炭水化物:50~65%
が理想的とされていましたが
今回は、たんぱく質量を
体重×1.3g とるという事にしていますので
- たんぱく質:体重×1.3g
- 脂質:30%
- 炭水化物:残り
で計算しなおしてみましょう。
前回の例では、30~49歳の標準体型女性を想定していたので
今回も同じ条件で計算を行います。
とはいえ、今回は体重が計算に必要になりますので
この年代の女性の平均体重を調べてみます。
ありました。
身長・体重の平均値及び標準偏差
ここでは
- 30~39歳:54.4kg
- 40~49歳:55.8kg
となっているので、平均をとって
55.1kg
として計算します。
たんぱく質量を決める
体重(1kg)×1.3(g)なので
55.1×1.3=71.63(g)
切り上げて
1日に72gとします。
脂質量を決める
ここは前回と同じで
2050(kcal)の30%を9で割って
68g
1日に68gとします。
炭水化物量を決める
ここは残りなので
2050(kcal)-288-612=1150
1150÷9=287g
1日に287gとします。
まとめると
それぞれの計算をまとめると
- たんぱく質:72g
- 脂質:68g
- 炭水化物:287g
でした。
前回の「日本人の食事摂取基準」を
参考にしたバランスよりもたんぱく質量が少なくなっていますね。
もし、前回の計算値で食事をデザインすることが
困難であれば今回の結果を合わせて考えてみて
少し気持ちに余裕を持った目標量にしてみてはいかがでしょうか?
総まとめ
- 筋量の増加に最も効率がいいのは体重×1.3g
- たんぱく質は多めにとればとるほど筋肉は増える
- 日本人の食事摂取基準とは少し数値が異なる
- この数値はあくまでも計算上
- 筋肉を付けたい、ダイエットしたいという目的ごとにカスタマイズしていく必要がある
たんぱく質は多くとっても体に悪影響を及ぼすことは少なく
むしろ、現代日本人は不足しがちな状況にあります。
しかしながら、たんぱく質に固執するあまり
食事が偏ってしまうと
腸内環境が悪くなってしまうことがあります。
(実際僕もそうでした)
特にほぼ毎日トレーニングをしている方は
体重×3g程たんぱく質をとる方もいます。
ですが、今回の結果を見ると
そこまで無理をしてたんぱく質を
とらなくてもいいという事がわかります。
もし、腸内環境が悪くなっているなと感じた場合は
気持ちにゆとりをもって
たんぱく質量を減らしてみるのもよいかもしれませんね。
あ!普段あまり意識して食事をしていない方は
ほぼ必ずたんぱく質量が不足していますので
これを機に普段の食生活を振り返ってみてくださいね!